ポリー、2週間NYへ
ハウスメイトともめた話は、こちらにかいたが、
9月中に家を見つけることはできず、10月分の家賃は払い、
とりあえずあと一月はいることにした。
そして、ポリーも2週間近くNYのほうに
出かけていたので、その間に鳥の世話を放置して出ていくのも
無責任に思ったのもある。
ポリーのいない2週間は普通に鳥の世話をし、
郵便物を大事そうなもの、そうでないものに仕分けし、
キッチンや鳥のいる部屋の床を掃いたりと、今まで通りに暮らした。
彼女が帰ってくる前日には、気を利かせて
彼女が飲む牛乳までスーパーに行って買っておいてあげた。
最後の砦
彼女がいなくなって平穏な日々が戻ってくると、
最後の砦としてこの家をとっておきたいという
下心もちょっと芽生えてきていた。
調べてみると、LAは月に2000ドルが相場のようで、
今の為替を考えると日本の30万に値する。
一人暮らしでその家賃はありえない。
そして、やはりなんと言っても
マリアの家に近いのでロケーションは最高なのだ。
そのため、表面上だけでも今まで通りに
うまくやっていくよう装ったのだった。
そして、彼女から私への誕生日カードに、I love living with you!
(あなたと住めてうれしい!)って書いてあったので、
私の方はまったくそう思ってはいなかったものの、
彼女には自分たちはうまくいっていると
思ってもらえてはいたようだ。
堪忍袋の緒が切れる
しかし、自分の気持ちを押し殺して、
フレンドリーに振る舞うのも私自身限界だったようだ。
この記事のコーンの一件でも書いたように、ちょっとしたことがあると、
以前とは異なり、我慢できず言い返してしまう。
彼女が帰宅した翌日の日曜、私は11時半からヨガのクラスに行くために
家を出るとポリーに告げた。ポリーは近所のファーマーズマーケットに
でかけるとのことで、11時半までに戻ってこれないなら、
彼女の部屋の窓を含め、戸締りをしてほしいと頼んだが、
当然彼女はそのままにして出かけ、11時半になっても帰ってこなかった。
彼女に私が出る時間を伝えていたにもかかわらず、
彼女が私に全部の戸締りをすることを押し付けて
出かけたことに少々腹が立っていたのと、
もう一人のハウスメイト、フェルナンドが朝いるのを
見かけたこともあり、表の玄関の鍵だけかけて私は出かけることにした。
「もう帰ってくるでしょう?遅れるから、出るね、、」
というメッセージを彼女に送って家をでる。
実際、ヨガに行く道すがら帰ってくる彼女とすれ違った。
ヨガのあと、友人宅でのお茶会に気分よく向かっていた私だったが、
ポリーから1階の勝手口のドア2つが空いていたと
長い文句のテキストが届き、すっかりいやな気分になった。
新しいシステムの提案
その日の夜、このままでは今月末までも
ストレスでここでは暮らせないと思った私は、
新しいルールを提案した。
1)ドアと窓はあけた人が閉める。
2)鳥をカゴから出したら、その人がカゴにしまう。
3)ポリーが夜遅くなる時は、その旨を私たちに知らせる。
また夜用のかごに鳥をうつしてから出かけてほしい。
最近は、鳥がなかなかカゴの中に入りたがらず、
鳥籠を移すのに、ものすごく時間がかかってしまうために
(3)のルールを提案。
どれも、理不尽なお願いだとは思えない。
これを守ってもらえれば、私のストレスも軽減して、
もう少しなんとか暮らせるのではないかと思ったのだ。
修羅場
翌日、彼女はあなたの提案するシステムはうまくいかない、
と言ってきた。そりゃテナントから提案されて、
素直に受け入れるような性格ではないので、
まあ予想通りの反応といえよう。
彼女は議論にとにかく勝たないと気が済まないのだ。
相手を言い負かすことに情熱をとことん注ぐタイプだ。
アメリカ人らしい。レイは間違っているといい揚げ足をとってくる。
自分がやったことにだけ責任を持てば、
あとは知らないというレイの言い分は、おかしい。
この家はハウスメイトたち全員で気遣い守っていくべきなのだ。
例えば、ガスコンロの火を誰かがつけっぱなしにした
としよう、じゃあ、あなたは自分がつけたんじゃないから、
消さないというのか?とポリーが詰め寄ってくる。
もうその時点でこの人と議論するのは、
時間の無駄以外のなにものでもない
ということがわかるだろう。常識として、それは消すだろう、と答えると、
でもあなたのテキストにはそうは書かれていなかったと言われる。
そのあと、2階の私のバスルームの窓を開けてはいけない
と彼女が言ったことについて話がおよび、
ポリーがバスルームは目が届かず、風が吹いて窓が動いていても
気づかないから開けるなと言ったわよね、と私が言うと、
そうはいっていない。見ていれば開けてもいいといった、という。
私の部屋の奥の椅子に座り、ここからは対角線上に窓がみえるので、
ここで見張ってあければいいといいはる。くだらない。
そのあとは、言った言わないの話だ。
「レイは私が言ってないことを言ったと言うから、
私の気が変になる!」と叫ばれ、まあ修羅場だ。
彼女は‘I said if…’ 「私はもし、、、」と言ったのだと主張。
私からすれば、もしもへったくれもない、言ったことには変わりない。
これが英語ができない日本人なら泣き寝入りだろうが、
そうはさせない。私も堪忍袋の緒が切れて、
言うことは言わせてもらった。修羅場になったが。
まあ、私も途中で、時間の無駄と気づいて、
相手にしなければよかったのだが、その時は自分を
抑えられなかったわけだ。
そしたら、とうとう彼女から、次のように叫ばれた。
‘Apparently, it’s not working. You should leave the house.’
「明らかに私たちうまくいってないから、あなたは家を出ていくべきね」
まあ、当然そうなる。私として、その一言を言われると、
行き場ながなくなる気がして、怖くて、
その一言を言わせないために、ずっと気を使っていたわけだが、
まあ、こうなるのは時間の問題だったわけだ。
その後、友人と話す中で、この状況は、
完全にパワハラだと気づく。
出て行けという権限のある大家と、
そう言われるのが怖くて、言いたいことが言えないテナント。
パワハラされている人って、なかなか自分でそれに
気づけないのだということを体感した。
もう一度やり直せる?
その数時間後に、彼女がやってきて、
「あなたとうまくいかなくてすごく悲しい。
出て行けって言ったけど、別に今日明日にということではない。
あなたがどれくらいの間ここにいるのかわからないけど、
その間はうまくやっていくようお互い努力すべきだと思う。」
と言われ、私も当然そのつもりだと返事した。
そして、そのあとまた数時間して、やってきて、
今度は私には理解不能なことをいう。シャラスとレイ、
二人のハウスメイトとうまくいかなかったというのは
自分にとって’two failiures’「二つの失敗/汚点」になってしまうので、
できれば、なんとかレイともう一度やり直してみたい。
‘I want to suceed’ 「私は成功したいのだ。」という。
訳がわからない。
これはカルチャーの問題なのか、科学者の性格なのか、
なぜ、ハウスメイトとやっていくことに
成功とか失敗とかあるのだろうか。
単に相性の問題だろう。「あなたのせいじゃない、
私たちは相性があわなかっただけだから。」と思ってもないが、
一応言ってみる。どう考えても私とうまくいかなかったのは、
ポリーのせいだろう。
その時、シャラスの一件が、私たちの間のこんな問題に発展する
なんて思っても見なかったわね、と笑い合ったりもしたが、
それでも、私は、やり直すなんて、とんでもない。
彼女もさすがに、too much of hard feelings..よね?
「無理よね。。」というので、私も無理だと返事。
私の気持ちをわかって!
彼女はそのあとまた来て、自分は、シャラスのことで
傷ついていたので、
その気持ちをわかってほしいと言ってきた。
私は、シャラスが家賃を払わなかったこと、
勝手に車を使ったことであなたが傷つき、
裏切られた気がしたのはよくわかっているし、
鳥たちが亡くなった旦那さんの形見で
大事なのもよくわかっていると伝えた。
ポリーはやはり、自分のことしか考えていないんだな、
と聞きながら思う。自分は辛かったのだから、理解してくれという。
あきらかに私にやつあたりしていることが
わからないのだろうか。そして、やつあたりして申し訳ない
と言う言葉は出てこないのだろうか。
まあポリーがNYから帰ってきて2日目には
私たちはこういう状態だ。
これからやっていけるはずもない。
もう逃げ道もなく、一刻も早く家を探すしかない。
しかし、今回の言い争いはかなり私としては、しんどかった。
心臓はバクバクし、わなわなしてしまった。
そのあとの1週間は、かなりつらかった。
あれから10日ほどたったが、
まだ完全に私は平常心には戻れていない。
しかし、この記事にあるように、友達のありがたさが
身にしみた1週間だった。