言語学会と要旨提出

UCLA

理論言語学の学会

理論言語学の分野で、権威のある国際学会といえば3つ、
GLOW, NELS, WCCFLだ。また日本語がからむ学会としては、
Japanese/Korean Linguistics, WAFL(アルタイ語族言語に関する
発表の場)などがある。私が行く学会はだいたいこれらだ。

ハウスメイトの地震学者のアランによると
彼らの学会は、レビューなどなくほぼ全員が発表できるらしい。
ところが言語学会はそうはいかない。競争率が高く、
査読がはいり、かなりの確率で落とされる。
そのため、発表できることになればそれなりにうれしい。

あと2日で要旨を書き上げる?

大学で、エラがWCCFLの要旨提出の締め切りが
迫っていて忙しい、というのを私とマリアが耳にし、
帰りの車であと2日しかない(翌日の真夜中締切)が、
書いて提出しよう、と言われた。

2日じゃできないでしょう、という弱気な私と、
当然できるでしょう、という強気な彼女。いつもの温度差だ。

そういえば、あまりにネガティブなことを
ちょいちょい言う私に、マリアは堪忍袋の緒をきらし真顔で
この家追い出されたいの?」と言ってきた。気をつけなければ!

自分はポジティブな人間だと思っていたが、
研究に関してはあきらかにそうでないようだ。

その翌朝から、私が昼までにA4の紙2枚の要旨の
ドラフトを書き上げた。大きなプロジェクトで、
どの部分を2枚に収めるのかは難しく、その点はすでに
二人で話しあって合意はしていたものの、かなり苦労した。

結局は夜中の12時まで二人で粘ったものの
書き終わらず、それでも、翌朝私が書き直していると
彼女が、締め切りがその日の夜中に延長されたと知らせてきた。
おかげで、無事に提出できた。

共同執筆の難しさ

学生時代は常に、私が書いたものを
マリアが読みコメントを加え、それに基づき私が書き直し
(何度かそれを繰り返し)最後に彼女がまた読み
OKを出す、という段取りだった。

今まで一度で、OKをもらったことはない、
大概、構成から、大幅な書き直しが要求される。
そして彼女のコメントに圧倒されて絶望的な気持ちになるのが
常だ。しかし、それでも書き直しているうちに、
質があがるのを実感し、最後は、彼女の厳しく妥協を許さない
指導に感謝するというのがいつものパターンだ。

しかし、今回は私の書いたものを、なんだかんだで
彼女がほぼ書き直す形になった。時間がなかったということも、
私がすごく疲れていて筆が進まなかったというせいもあるが、
私の貢献部分がなかった気がして、複雑な気持ちだ。

しかし、もう卒業しているので、
アドバイザーと生徒という関係ではない、
指導目的よりは、より良いものを世に送り出す
ことが大切なのだと思う。私の気持ちは二の次で
つまりは、うまく書ける方が書くべきということだ。

なんだかんだで、まだまだ彼女の足元にも及ばない。
たくさんの情報をコンパクトにまとめた彼女が書いたものを読み、
勉強にはなったし、到底私にはできない芸当だと思った。
経験値が桁違いに違う。

文体の違い

共同研究の執筆は難しい、学者は人によって本当に、
くせがあり、同じ人が書いたものか違う人が書いたものか
すぐにわかる。特にマリアと私では文体が全然違う
簡単に言うと、マリアは端的で固く男っぽいし、
私の文章はやわらかく女性的だと思う。

この日本語のブログの記事はどう思われてるかわからないが、
英語の論文に関しては、二人とも性格がよく表れていると思う。

彼女の文は凝縮されていて読者は正直読みにくいと思うので、
私は、結構自分の書いたもののほうが好きだ。
しかし、2枚の紙に大量の情報を詰め込むのは、
私にはどちらにしろできなかったと思う。

彼女は妥協はしない。まあ、いっか、、はない。
そこをすごく尊敬している。
教育的配慮なのか、私と研究する時はとりわけそうだ。

今回の要旨をアウトライン代わりにし、
今後、私が雑誌社に送る論文を書くことになる。
彼女が全部書き直すことにならないように、頑張りたい。

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