所得が1000万を超えると、税金で手取りは減る?
そんな噂を聞いたことはないだろうか?
私もどこかでそれを聞いて、なんとなくそれを信じていた。
サラリーマンは、自分で年収を調整はできない。
1000万をこえた時に、たとえ下がっても、仕方がないな、
と思ってちゃんと調べたことはなかった。
しかし、その噂は、所得税だけを比べると、正しくはないようだ。
多くの国がそうであるように日本も、累進課税制だ。
分離課税に対するものを除くと、所得金額により5%〜45%が
課税される。国税庁のホームページによると、
平成27分以降は以下の表のようになっている。
しかし、税金はとても非常に複雑だ。
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所得が700万の場合の所得税は?
国税庁のホームページによると、
例えば課税所得(年収から経費、所得控除などをひいたもの)が
700万の場合は、以下のような控除額が適用されて
税額は以下のようになる。
700万円×0.23 – 63.6万円= 97.4万円
控除額より税金の方が断然高い。また、年によっては、
復興特別所得税(令和5年現在2.1%)などもとられるため、
実際は112.1万円所得税だけでもおさめている。
1000万を超えると?損する?
1000万をこえると手取りが実質減るという話はよく聞く。
課税所得が899.9万の人と、900万の人を
復興特別所得税も含めて考えてみよう。
899.9万円×(0.23+0.021) – 63.6万円= 約162.3万円
900万円×(0.33+0.021) – 153.6万円= 約162.3万円
まあ、ほぼ同じだ。なので、所得税のせいで
手取りが明らかに減るというわけではなさそうだ。
ちなみに1000万の場合は、どうだろう。
1000万円×0.351 – 153.6万円= 約197.4万円
控除額が増えないため、課税所得に対する控除額の割合が低くなる。
100万所得が増えると、所得税が35万程度高くなるり、
200万近く所得税を払うことになる。
これに加えて住民税なども払うのだから、もっとかかるわけだ。
1000万を超えると所得税が増えるせいで、手取りが減ることに
なるのかと思ったが、さすがにそれはない。
しかひ、収入に対する税金額が増え、コスパは悪くなるが。
じゃ、なぜそういう噂が?
では、なぜそういう噂があるのだろうか?
国税庁の所得税のホームページの記載の仕方はずるい。
まあ、控除額は人によって違うので、仕方ないかもしれないが、、。
まず、先ほどの計算式の最初の値が課税所得金額で
はじまっているのに要注意だ。
課税所得は、収入から経費や所得控除などをひいたものだ。
なので、実際のところは、以下のようになる
所得税額=(収入ー経費・所得控除など)x税率ー税額控除
課税所得
収入と所得の違い
まず、知っておかないといけないのは、収入と所得の違いだ。
ちなみに、年収は年間の収入のことである。
所得は収入から必要経費を引いたもので、
そこから所得控除をひくと課税所得となる。
課税所得は税金を計算するときのためのもので、
ざっくりいうと、収入から経費や控除を引いたもの。
課税所得=(収入ー経費)ー控除
所得
この課税所得に上記の税率をかけて計算するわけで、
上記の計算例の700万や1000万は課税所得であり、収入ではない。
課税所得からの計算式だと、控除額も上限ではないし、
まだ、それほど損している感じはしない。
所得控除と税額控除
今までの話で、2回、控除という言葉がでてきたが、
1)所得から引く控除と2)税率をかけたあとに引く控除の
2種類の控除がある、どちらの控除かで金額的に大きな差を生む。
上記の表の、63.6万円や153.6万円は後者の税額控除だ。
所得控除 → 所得金額から差し引ける控除
税額控除 → 税額から直接差し引ける控除
所得は収入から必要経費を差し引いた金額だが、
会社員の場合の必要経費は、国税庁のホームページによると下記の表にある
収入によってあらかじめ定められている給与所得控除額となる。
給与所得控除額は195万円が上限だ。給料がいくら高くても同じだ。
まあ、サラリーマンの必要経費が収入によって増えるのか
というと微妙なのでしかたないだろう。
つまり会社員の年収が850万を超えると、収入に対する
必要経費となる控除額の割合が減るために、
課税所得がどんどん増えて、結果税金が増えるわけだ。
所得控除もろもろ
収入から経費が引かれたあとの所得から、
所得控除額が引かれて課税所得になるのだが、
収入が2400万以下の人は、基礎控除額48万が適用され、
その他、人により、配偶者控除や扶養控除などもろもろが適用される。
ちなみに、私は20歳の子供がいるので、
扶養控除額は63万となる。
所得控除の例は、他に医療費控除、社会保険料控除など。
ちなみに、ふるさと納税も所得税に関しては納税額から
2000円から引いたものが所得控除になる。(確定申告をした場合)
そのほかは住民税から差し引かれる。
こういったもろもろの控除額が所得から引かれ課税所得が算出される。
所得控除は、税額控除ほど直接的なインパクトはないが、
それでも、少ないと課税所得が増えて税金額が増えるので、あなどれない。
所得税の他にも、10%の住民税や社会保険料なども払う。
結局は収入は増えても、控除は増えず、
課税所得が増え支払う税金も増えるわけだ。
国民一人一人、かなりの税金を払っているわけだ。
また、法律が新しくなるたびに、控除額がさりげなく減っている。
税金を払うのは当然だと思うが、
ぜひ、有効に意義ある形で使ってもらいたい。