マリアとの共同研究(2):セミナーでの発表

UCLA

セミナー発表前の1週間

マリアとの共同研究で今までに集めた日本語のデーターを
9/19に、UCLAのオンラインセミナーで発表することになった。
50分発表、10分質疑応答のプレゼンである。
それに至るまでの、共同研究の経緯はこちらの記事に。

9/6-12まで、日本から友人夫婦が訪米、LAを3日間案内した後、
一緒にサンフランシスコ郊外の友人宅に行ったため、
その間、研究の方は、ちょっとお休み。
その友人が来た時の話はこちらの記事に。

13日には、マリアがUSC(サザンカリフォルニア大学)で
セミナー発表があったため、それを聞きにいった。
その時の記事はこちら

そのため、発表のためのレジメ作りは14日にスタート
5日間しかない。

そして、サンフランシスコでピア39に行った時、
思ったより海風が強く寒くて、薄着だったのが原因で
風邪を引いてしまっていた。最悪のタイミングだ。

14日と15日は風邪が悪化。そのため、マリアとはあえず、
自分でレジメの叩き台を作り、それにマリアから
フィードバックをもらう形で作業をすすめる。

レジメの作成と発表

さて、レジメだが、私は以前にマリアと発表した時のものを
修正する形で今回のものを準備したのだが、
彼女は全然違う方向性での発表を考えていた。

私の仕上げた原稿に、フィードバックを加えたファイルが
彼女から送られてきた。開くと、全面真っ赤になるほどのコメントが。
まずは、ため息をつき、見なかったことにして、
ファイルをそのまま閉じる

大学院生に戻った気分だ。博士論文を書いていた時も
こんなことはしょっちゅうだった気がする。

他にも、読むように言われた論文もあり、風邪で体調も
すぐれないこともあって、とりあえずはそのまま放置

明日、朝から一緒にやろうとマリアが手を差し伸べてくれた。
彼女が別途作ったアウトラインを私のレジメに組み入れ
それを私が作った全体の流れにあうように手直しすることで
やっと発表の1時間半前に完成疲れ果てて、
発表前にレジメ全体を見直しておくこともできなかった

『わからないことは、今回の発表では省けばいいんじゃない?』
と甘い考えの私に、『そういうのは、絶対なしだから。
それも、問題点として挙げて、全部発表する。』
妥協しないマリアらしい発言だ。これが共同研究の醍醐味だ。

なお、発表前の最後の3日間は、大家であるポリーと
もめごとが起きたため、夜もよく眠れず最悪だった。
その記事はこちら

ギリギリではあったが、無事に二人とも納得できるレジメもでき、
質疑応答では、マリアにも振って、しゃべってもらい
(きっと喋りたかったはずだ)発表もとてもうまくいった。

私には久々のプレゼンだったが、プレゼンの腕は
落ちていないみたいで、大成功だったと言っていいだろう。

主催者からその日だけで4回もメールがきて、また発表してほしい
と言われたし、マリアも発表の出来に大満足だったようで、
そのあとすぐ電話がきて、祝杯をあげにアイスを食べに行こう
誘ってくれたのだった。マリアは、うれしい時も、
がっかりした時も全身で表現する人で、そんな素直な彼女が好きだ。

でも、大家さんとのトラブルが大きすぎて、
プレゼン後の達成感は、一瞬で消え去ったが。

プレゼンというのは、発表した本人がうまくいったか、
いかなかったか一番よくわかるものだ。特に海外だと、うまく行った場合は
多くの人に、お褒めの言葉をもらえるので実感できる。
ところが、日本人には、プレゼンの後に褒められたことは
一度もない。日本人は人をあまり褒めない人種なんだと思う。

一方、私も準備不足でうまく行かなかった発表が1度あった、
マリアもルイも聞きに来ていたこともあり、私はかなり落ち込み、
そんなにひどくなかったよ、と友人に慰めてもらったものの、
全く気分は晴れず、誰にも会いたくなかったのを覚えている。
あんな、プレゼンは2度とごめんだ

学会に応募するためのアブストラクト(要旨)の執筆

今回のデーター分析に関しては、まだ解けない問題もあり、
途中ではあるが、そろそろ論文の執筆に入るステージだ。
とりあえずレジメを作りあげたことで、論文の全体像は
なんとなく見えてきた。そして、おそらくその方向で
すすめるのが正解だと思われる。

そこで、論文を書くのに役立つのは、論文の要旨をまとめることだ。
私は、ちょうど東海岸に会いたい友人もいたので、
ボストンで開催される学会にアブストラクト(要旨)を書いて応募したかった。
言語学の場合は大抵A4サイズ2ページ分に要旨をもとめることが多い。
締め切りは21日、セミナーの発表後2日しかなかった。

マリアは締切の21日にヨーロッパに発つことになっていて、
また、セミナーのあと19日以降は絶対仕事はしないと公言していた
(それまで働きすぎだし、当然だ)。

そのため、要旨を出すのにはあまり賛成ではなかったと思うが、
とりあえず私が書くのを止めはしなかった。

私はセミナー発表のレジメに沿って、以前に二人で書いた
アブストラクトを手直しする形で仕上げた。

締切前日の20日、彼女と散歩している時に、
一応アブストラクトを書いたけど、マリアが出発準備で時間がないのも
知っているので、彼女のチェックなして学会に応募してもいいか、
と尋ねた。「うーん、うーん、(と悩み)まあいいわよ。」との返事。
承諾受けたからね!と念押しをした私。

学会応募はあきらめることに

パッキングもはじめてないという彼女だったが、
別れて一時間後には、今アブストラクト読んでるけど
‘it needs more work’(もっと直さないといけない)と連絡が。

そのセリフ、彼女から大学院時代に何度聞いたことか
見過ごせなかったわけだ。そのあと要旨の内容に関して、
長いメールがきて、さらに彼女がヨーロッパに発つ日の朝、
チェックインしたら空港から電話するとの連絡。すごいな。

結局、時間がなく電話できそうもないと連絡がきたが、
査読委員として、仕上がっていないアブストラクトを読むほど
嫌なことはない、、と手厳しいが当然のことを言われ、
私も途中までは書き直したが、今回はあきらめることにした。

アブストラクトが悪くても、無記名だし審査に落ちるだけだ。
通っても、その後で自分の名前と所属を入れるので、
まだ直す機会はある。そのため、私的には出しても良かったんじゃないか
と今でも思うが、(みんなとりあえず出して、発表までに
リサーチを仕上げる感じじゃないのか)マリア的には、それはなしらしい。

私と組んでいるから先生としてのロールモデル的指導も入っているのか、
それとも、彼女一人でも、妥協はしないのか少々疑問だが、
まあ私は勉強になるし、今までも彼女の要求に応えるべくして
成長してきたので、彼女の妥協しない姿勢は、詰めの甘い私にはありがたい。

結局は提出しなかったが、アブストラクトを途中まで書いたおかげで、
論文を書く際の方向性と全体像、そしてまだまだできてない
分析の箇所が明確になった。今回、やったことは、
論文を書く際に大いに役立つと思う。

そして、まずは、今回仕上げられなかった要旨を仕上げ
別の学会に提出して、同時に論文の執筆を始めるのが次のステージだ。

学会発表は、ちょっとしたご褒美みたいなもので、
研究の山場は論文の執筆そして出版だ。結局は
ちゃんとした雑誌に出版されないと、人に読んでもらえないし意味がない。

なんとか、無事にそこまで順調に辿り着けますように

マリアが帰ってくるのは、10月10日だ。
それまで20日間、5本の論文を読むよう宿題を出されているが、
それ以外は、私ものんびり息抜きしておくつもりだ。

この夏、お互いよく働いた、二人とも休憩と息抜きが必要だ。

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