パニック症候群

@ロサンゼルス

パニック発作

私には、パニック発作の既往がある。
初めて発作を起こしたのは、20年くらい前で2002年ごろ。
ボストン大学のエレベーターに閉じ込められた時で、
空気が足りない気がして、過呼吸になった。

その次のパニック発作は、東日本大震災の311の時。
東京の家の台所に一人でいたのだが、食器がものすごい音をたて、
揺れも激しく、息ができなくなりベランダから
外にでないではいられなかった。

当時は、それがパニック発作とも知らず、
頻繁に起こることもなかったので、
なんとかやりすごしていた。

パニック発作だと知る

この症状がパニック発作で過呼吸なんだと分かったのは、
ゼミの学生を引率して沖縄に行った時だ。

私は沖縄はじめてで勝手がわからなかったのと、
一人で10名程度の面倒をみなければいけない
という責任感から、無意識にかなりストレス
感じていたのだとは思う。

そして、青の洞窟にシュノーケリングに学生たちといったのだが、
その時に、また発作が起こった。青の洞窟ツアーには、インストラクターの人が
ついていたのだが、海を泳ぎ始め、水面から下を覗き込んだ時に、
海底が思った以上に深く、水にまわりの音を遮られた静けさとで、
スイッチがはいってしまった。

学生もいるのに、私が具合が悪くなるわけにはいかない。
困った、どうしよう、と焦りさらに呼吸が苦しくなる。
とりあえずは、インストラクターを呼んでもらい、呼吸が苦しい旨を伝える。

すると彼は慣れたもので、「みなさんよくなるんですよ。
パニックなので、息をゆっくり吐くことだけに集中してください。」
とアドバイスをくれた。

みんなよくなる、という一言に救われた部分もあったのだろう、
言われた通り、息をゆっくり吐くことだけに集中していたら
なんとか自分を取り戻し、学生の輪に戻りなんとか、
学生にあまり気づかれることなく、残りの日程を
無事にこなすことができた。

その時に、初めてこの症状がパニック発作なのだと知った。
そして簡単な対処法をおしえてもらったことは
その後の人生において、大いに役に立っている。
私の場合、主な症状は、動悸と呼吸困難(過呼吸)、ときどき胸の痛み

メンタルクリニック

アメリカにいたころは、多くの学生がそうであるように、
私も大学の提供するカウンセリングに通っていた。
決まった担当者に個別で話をきいてもらうのと、
博士論文を書くサポートのための、グループカウンセリングがあった。

そのため、私はメンタルクリニックにあまり抵抗はない
アレルギー治療で通っていた大学病院の
メンタルクリニック科を紹介してもらった。

そこの先生がとてもいい人で、優しく熱心に話を聞いてくれて、
とても救われたのを覚えている。発作が起きた時の呼吸法や
カフェインを避けるなどアドバイスをもらい
不安な時に飲む薬などを処方してもらった。

その先生がとてもいい方だったので、できれば通い続けたかったが、
大学病院だし、他の科よりも診療費が多くとられるのもあって、
症状が落ち着いた時点で通うのはやめてしまった。

日本で、アメリカにいた時のようなカウンセリング
クリニックみたいなものはなかなか見つからない。
誰もがかかりつけの精神科医をもつのが理想だ。

忘れた頃に起きる発作

その後も、忘れた頃に発作は何度か起きた。
めったに発作も起きないので薬を持ち歩くのをいつも忘れる。

そして、不安になったり、恐怖を感じた時に、いつも、
「あ、薬を持ってくるんだった!」と後悔するが、時は遅し。

ここ最近は、初めてコロナの予防接種を受けた時だ。
病院に走って行ったために、すでに心臓の鼓動が速くなっていた。
注射の副反応が騒がれていたころで、私の接種会場は、
病院の混んだ待合室の一角。こんな雑な感じの接種でいいの?
と不安に感じていたのは事実。

接種後、木の長椅子に座っていると隣の人が席を立つ時に、
いすが揺れると同時に、めまいがし、地震が起きたのかと思う。
同時に呼吸が荒くなり、呼吸の不自然さに気づいた看護師が
車椅子をもって来てくれた。

アレルギーなどの副反応ではなく、結局はパニック発作だった。
その後何回かの予防接種は安定剤の薬をあらかじめ飲み、
息子や娘につきそってもらい発作も起きずに接種できた。
めまいを伴ったのはこの時が初めてだ。

一度発作が起きると。。

私の場合、パニック発作が治っても、それですぐ元通りとはいかない。
3週間くらいは呼吸が非常に浅くなり、話をしていても途中何度も
息継ぎをしないではいけなくなる。そして、一度発作が起きると
脳が覚えているらしく発作が起きやすくなるのだ。

この状態はAnxiety attack(心配発作)みたいなものではないかと思う。
正式な医学用語ではないらしく、決まった定義もないらしいが、
私の場合、パニック発作の前や後に出る症状だ。単独ででることもある。

過度のストレスでも。。

不安や恐怖心でも起きるが、ストレスでも起きる。

特に印象に残っているエピソードがある。
朝起きてメールを確認すると、rejection (不合格?)
を伝えるメールが届いていた。論文を掲載してもらうために
出版社に送ったものが、査読審査を通過できず
掲載できないという返事だ。

力作だっただけに、またか、、(よく不合格にはなる)
とは思ったものの、かなり落ち込んだ。

しかし、仕方がないと気を取り直して大学に行き
授業をおこなっていたら、息つぎも苦しく講義もできない。
これは発作だと気づき、授業を切り上げ、病院にいく。

ストレスの原因は何かあるのか、と医者に聞かれた。
思い当たるのは、朝のrejection レターしかない。
それが、発作を引き起こしたとは、ちょっとショックだった。
不安や恐怖だけではなく、過度のストレスも引き起こすのだ。

いや、それともそのストレスは恐怖や不安だったのだろうか。
今でも、よくわからない。

ロサンゼルスにきてから

ロスに在外研究でくる1週間前くらいから息苦しくなり、
またAnxiety(心配)の症状があった。
理由かわからない私に、娘が渡米が不安なんでしょう、
と言われ、なるほど納得。

ポリーの家に住み始めてひと月くらいはかなり息苦しかった。
ルイに動悸と息切れは心臓が悪い可能性があると、
病院にいくよう勧められたのもこれが原因だ。

今でこそAnxiety attackだと思うが、4月時点ではわからなかった。
結局、病院の検査結果はinconclusive(判断がつかない)というもの。

心配発作(anxiety attack)とパニック発作

マリアと共同研究し、一緒に住むようになり、
息切れも落ち着き、ここのところ調子が良かった。
セミナー発表も息切れすることなく、無事にできた。

ところが先日パニック発作が起きた。
それほどひどいものではなかったが、息苦しい、
これはパニック発作だと自覚できる程度のものだった。

きっかけは些細なことで、コンピューターで
自分の博士論文のテーマで最近かかれている論文を検索していたら、
突然なぜか圧倒され(overwhelming)、息ができなくなった。

でもその見つけた論文も、ただの紀要なのだ、まったく脅威を感じることはないし、
自分の博論が間違っているとはみじんも思っていない、自信もある。

発作が起きた旨をマリアに言うと、私の部屋にきて座り、
縫いものを始め、そばにいてくれた。
幼い頃から母と不仲だった私にとっては、まさしく母代わりだ。

その翌日も小さなことで軽い発作が起き、その後しばらく呼吸が
非常に浅い時が続いた。マリアに言わせると喘息発作に似た状況らしい。
両肩をあげて息を吸わないと吸えないのだ。
病院でも何度か喘息の診断を受けたことがある。
ストレスで起きる喘息なのかもしれない。

今回の発作が起きた経緯から考えると、この呼吸が浅く
息苦しいのは、Anxiety 発作のようだ
11月に引っ越したばかりで、12月も何度も
引っ越しをしなくてはならず、生活が変わることに不安を感じていたようだ

ベニスビーチでの2週間を無事終え、今はトロントの友人宅に滞在中だ。
友達はいい。今のところ発作もなく、新しい生活を楽しんでいる。

不安は無意識なもので、体調を崩して自分は不安だったんだと気づく。
狭いところに入るなど(閉所恐怖症なので)
事前にわかっていれば薬が飲めるが、いつも前もってわかるわけでもない。

彼女の家を出る少し前にパニックとアングザエティー発作が
起こってしまったので、マリアにもかなり心配をかけてしまっているが、
まあ、彼女は度量が大きいので、大丈夫だろう。

タイトルとURLをコピーしました