人種の違い、肌の色の違い
日本にいると、アジア人が大半で、肌の色も同じだ。
そのため、多くの日本人が、ある特定の、人種が違ったり、
肌の色が違う人と関わりながら暮らすことはほぼない
(なお、ここではスーパーのレジ係とのやりとりは、入らない)。
日本の大学生たちは、とりわけ、うちの息子などをみていると、
他の国の人とかかわることが、極端に少ないと思う。
少なくとも、アカデミアにいると、
人種による差別を感じることはあまりない。
知識人たちは、ある意味特殊なのだろう。
なんせ、トランプが大統領になるのだから。
文化の違いは考えさせられる時があるが、
それでも、その人との違いが、文化の違いによるものなのか、
その人自身の性格によるものなのか、結局はよくわからない。
一方、日本人同士は、複雑な感情が入り込み、
もっとやっかいだったりするのだが。
プリンストンの女子学生
先日、私が大学から帰ってくると、客間に
ハウスメイトのポリーの友人たちがきており、
そこにヒスパニックの、プリンストンに通う女子学生がいた。
ポリーが私を紹介してくれて、挨拶を交わす時に、
彼女との間に生じた微妙な「ま」と空気感を感じとった。
私は、ごく普通に明るくいつものように、挨拶したつもりだったが、
彼女はすごく、ぎこちなかった。
その時、これは、なんだろうと思ったが、
理由はのちにポリーの話を聞いてわかった。
彼女はヒスパニックの貧しい地区の出身で、
彼女の高校からプリンストンに行ったのは、彼女が初めてだった。
そのため、ヒスパニック以外の人と
これまでの人生ほぼ関わったことがないらしい。
おそらく彼女はインド人や、日本人と
このようにあって話すのは、はじめての経験だろう、
とポリーが言っていた。
確かに、通りや大学でアジア人を見かけたり、
一言二言、言葉を交わすことはあっただろうが、
違う人種の人たちと本当に、本音で話したり、
冗談をいったり、一緒に笑い合ったリする
ポリーや私たちを見て、とまどいを感じたのかもしれない。
アジア人の絆
私が、アメリカ生活を送ってきた中で、
アジア人、特に、インド人、インドネシア人や台湾人などは
日本人にとても好意的だという印象がある。
日本にいると、彼らも私たちとは肌の色がかなり違い、
距離を感じるかもしれないが、それも相対的なもので、
白人の中にいると、あきらかに我々はアジア人で
仲間という立ち位置になる。
一方、アフリカンアメリカンは、
彼らだけのつながりがある感じで、アジア人だから
近いという感じでもない。
イギリスのインド料理レストラン
以前、ご主人がイギリス人の友人に聞いた話だが、
彼女がイギリスに留学していた時に、いつも行くインドカレー屋があり、
お店の人たちは、彼女を家族のようにかわいがってくれていたという。
ところが一度イギリス人の彼氏(今のご主人)を連れて行ったら、
途端に態度がかわり、いつもは名前で呼んでいる彼女のことを、
Ma’am (マーム;奥様)と呼び、それ以降、彼らとの関係が
戻ることはなく、とても悲しかったという話を聞いた。
日本人は、人種の違いや、それと連動した
職種の違いといったことに、慣れていない気がする。
やはり、彼女がそこにイギリス人の彼を連れて行ったら、
そうなるのは、想像できたことなのかもしれない。
インド人のアドバイザー
私にはマリアやルイの他に、インド人の博論アドバイザーもいた。
今回の客員研究員として来る際も、受け入れ教員となってくれている。
彼は、私の論文を細かく読んで、チェックしてくれる
アドバイザーとしてのまめさはないが、
明るく、おおらかで、いい人ですごく好きだ。
日本にいたころ、私がUCLAに遊びに来るたびに、
いつも食事に連れて行ってくれた。
彼は、やはりアジア人の学生は、
自分が目をかけないといけないと思っている。
君は、マリアに守られてたから(under her wings)、
そんな必要はなかったけど。と言われたことがある。
やはり、アジア人としての責任を感じているわけだ。
そう言う意味でも、教員のDiversity(人種の多様性)は大事だ。
やはり、アジア人はアジア人なので、
強い絆で、結ばれるべきだと思う。
なので、歴史的にアジアの国の間で起こった
いろいろなことを思うと切ない。
先日、ルイに韓国や台湾などとの日本の関係を話していた時に、
日本人がしたことを、we(私たち)を使ってはなしていたら、
we はやめなさい、君がしたんじゃないんだから、
they(彼ら)を使えと言われた。
そうだよな、さすがに、もうweじゃなくて、
theyでいいよな。。。
ヒスパニック系のお手伝いさんたち
日本では、最近は家にお手伝いさんがいる
おうちは少ないし、いても日本人だったり、業者だったりする。
しかし、ポリーやマリアがすんでいるこの辺では、
ヒスパニック系の人にお掃除にきてもらうのが普通のようだ。
私が滞在している家にくるお手伝いさんは、
昔から家に出入りしている人で、とにかく明るくおしゃべりで、
ポリーとの距離も近く、私ともよくしゃべる。
それでも先日残っているケーキをどうしようというポリーに
彼女にあげたらいいじゃない、と言ったら、
あれはおいしいからあげないわ!あなたたちが食べてと言われた。
なるほど、、、残っていらなければあげるが、
おいしいものはあげないのか。。と思った次第だ。
グーグル翻訳
マリアの家にも二人組のヒスパニックの人たちがお掃除にきてくれている。
その日は、ルイしか家にいなかったが、こちらは明らかに主従関係だ。
彼が指示をだし、彼女たちは緊張して従う。
また、言葉の問題もあるのかもしれない。ポリーはスペイン語を話すが、
ルイはスペイン語を喋らないので、グーグル翻訳を使って会話をする。
ある時、グーグル翻訳を使うルイの後ろに私が立ち、彼の肩に手を置き、
肩越しに彼の携帯をのぞく形でキッチンに登場した。
すると一瞬で空気が変わった。彼女たちの緊張が少し緩み、
私を見て笑顔さえ浮かべた。あきらかに、
彼とアジア人の私の距離が近いのを見て、
彼女たちが少しルイに心を開いた感じがした。
肌の違いと体への影響
これは、友人に聞いた話で、引用元は知らないので、真偽のほどはわからないが、
肌の色が違うお医者さんに脈を取られると脈が早くなるらしい。
そして、肌の色が近くなればなればなるほど、
脈は落ち着くとの実験結果が報告されているとのことだ。
まあ、知らない人の場合は、そうであっても不思議じゃない。
分かる気がする。実際、韓国人、台湾人、中国人は身近に感じる。
そういえばアメリカにいる時に、友人が、
白人と結婚している日本人女性のことを勝ち組、
と称していたのをふと思い出した。
そうだな、、。正直に言えば、私自身、白人に対するあこがれが
全くなくはない。
しかし、それでも、私はアジア人、
そして、日本人という自分の立ち位置が結構好きだ。
ビザなしで多くの国に行ける日本のパスポートが最強であるように、
いろいろな国の人たちと仲良くなれる感じと、
人種間の架け橋になれる感じが、好きだ。